トレードの勉強をし始めたころは何冊も本を買って読みました。移動平均線の使い方、ボリンジャーバンド、MACD、ストキャスティック、RSI、ダウ理論、ローソク足パターン、トレンドライン、サポートライン、レジスタンスラインなど、いろんなツールがあって、それをどうやって使って売買したらトレードで勝てるのかの答えを、真剣に探し求めていました。
それが不毛な努力であること、売買タイミングのトレード手法を磨くことがそれほど大事ではなく、大事なことは別にある、ということに気づいたのはかなり後になってからでした。相場の未来なんて結局予測はできません。仮説をたてて、その仮説が外れたらどのタイミングで逃げるのか、そのときに見込まれる損失はいくらなのか、のリスク想定を仮説とあわせて計算します。それがシナリオであり、ルール作りです。
トレードの世界に交通ルールは存在しないので、事故にあって死んでしまわないように自分で安全運転のためのルールをつくるのです。
このブログではコードを書いてバックテストをして、トレードルールをつくることを解説するのですが、売買タイミングのルールを決めるためだけのバックテストでは実はあまり意味がありません。バックテストの結果を踏まえて、自分にあったリスク管理のルールを作りあげるのが本来の目的です。
ファンダメンタル重視の長期投資も同じだと思います。ROEやPER、PBRをどう読むのか、キャッシュフローや自己資本比率をどう読むのか、それだけ勉強しても勝てる投資家にはなれないわけです。会計士が全員億万長者でないのはそのためです。リスク管理の方針がはっきりしていないと想定外のことが起こって大損することもあるのです。今日の優良会社が10年後も優良会社でありつづけられる保証はありませんので。
最近読んだニック・ラッジ氏の本に面白い一言がありました。勝ちトレーダーを100人同じ部屋に集めたら、みんな違う手法でトレードしているだろう、と書いてありました。私は100人のトレード友達がいるわけではありませんが、その通りだと思いました。勝つトレーダーの条件って、売買手法とはあまり関係がないのです。
自分にあった売買ルールをつくって、自分のリスク許容度を把握して、エントリー前にリスク金額も計算する。エントリー前に想定が外れた場合の撤退プランも決めておく。エントリー前に買った場合の利食いプランも決めておく。そのルールに従って、ペースを決めてトレードし続けるのが大事ではないかと思います。
